やさしくわかる職場のメンタル不全の心理アセスメント(初心者向け)|イベント・セミナー情報|総合心理教育研究所 東京セリエセンター:メンタルヘルス対策・ストレスマネジメント

佐藤隆の特別講座

やさしくわかる職場のメンタル不全の心理アセスメント(初心者向け)

職場のうつ病の心理アセスメント

心理アセスメント

心理臨床は実践における経験と知識の積み重ねです。総合心理教育研究所の35年にわたる臨床のノウハウを提供します。職場で起こる困った問題のアセスメントを解決:今お困りの問題がありましたらお持ちください。

心の病編

●統合失調症)

10代後半から20代前半に発病、古今東西を問わず100人に1人位いると言われている。身の回りの事に無関心になり、幻覚(特に幻聴)や妄想(自分は天皇だ。キリストだ。)等により奇妙で被害的な行動をとる。

●そう・うつ病

そう病は上機嫌で、何もやれないことはないと自信に満ち溢れ、眠らなくとも気にならない。乱費、外出・訪問を盛んにし、本人は病気とは思わない。

うつ病は逆に気力がなく、ボソボソと小声で喋り「前途は真っ暗だ」等と言ったりし、回復期の自殺が多い。几帳面で正直、真面目、小心、律儀、仕事が好き、強い責任感、完全主義者がなりやすいとも言われている。昇格、転勤、転・退職等もきっかけになる。1)身体因性うつ病

(2)内因性うつ病(3)ストレス性うつ病分けて考える

職場の不安障害のアセスメント

●不安障害

はっきりした原因がないのに、非常に不安が自律神経を介して身体症状としてあらわれる。突然、死に対する不安に襲われ、心臓がドキドキし、脳溢血のような状態に陥るが心電図などに異常は見られない。

●心的外傷後ストレス障害(不安障害の下位概念)

非常に生命が脅かされそうなつらい体験をした後(惨事等)何をする気力も失われ、どんな考えも浮かばず口数も少なくなる。時には、自殺も企てる。精神的因果関係が解りやすい。

●強迫性障害(不安障害の下位概念)

電車の吊革を握った手にバイ菌がついているのではと考え、何度も手を洗わないと気がすまない、戸締まり、ガスの元栓等をくり返し確かめないと気がすまない等、バカバカしいと思いながらも、そうせずにはいられない。

●解離性障害

心理的な原因で目が見えなくなったり、手足が麻痺し歩けなくなったり、もうろう状態等に陥ったり、いわゆる"蒸発"や二重人格を引き起こすこともある。

その他のメンタル不全

●インポスター現象

成功をしても自分に自信がもてない。働きすぎる。

●空の巣症候群
白壁症候群子育てが終わった女性に見られる。ポッカリと穴が開いたように何もする気になれない。

●テクノ症候群

コンピューターに取り付かれたようになり時間の観念や人と接するのが嫌になる。

また、その逆に最初からコンピューターに拒否反応を起こす。

●燃え尽き症候群

あまりにも頑張りすぎて力尽き果ててしまう

等々

場所:総合心理教育研究所会議室

募集人数:数名

講師:臨床心理士 佐藤隆ほか

日時:2011年11月18:30-20:00予定(日程未定)

参加費:5250円

テキスト教材サンプル

心の不健康な状態についての基礎知識

第1節 臨床心理学に必要な脳の解剖学的構造と生理・心理学的機能の知識

1-1心と脳の歴史

.ポルトガルのモニッツは、1935年に、精神病の治療の方法として前頭葉の外科手術を施行した。しかし、その手術の結果もたらすさまざまな合併症が出たため、それは現在では実施されていない。また近年の向精神薬の発達は多くの治療効果をもたらしたが、逆に、その疾病治療目的に使用されるのではなく、日常生活からくるストレスの苦しさを回避ための緩和薬、つまり「幸福薬」等として使用されていることもある。従って、我々が臨床心理学を学ぶには、さまざまな事象を理解できるように基礎的知識として隣接科学である精神医学や脳の解剖学的構造を学ぶことも重要である。歴史的に考察しても精神活動である「心と脳」の関係については紀元前4-5世紀から考察され、古代ギリシャのヒポクラテスやプラトンは、いわゆる「心の座」が脳にあると考えていたし、ローマ時代にはガレノスは脳室が心の座と考えていた。また17世紀に哲学者デカルトは脳の中の松果体が心の座と仮定し、18世紀にガルは骨相学から大脳局在論を提唱し大脳皮質が場所により機能が異なることを提唱していた。1861年に医師のブローカは失語症患者と左脳の損傷の関係ついて発表をし「ブローカの中枢」を見出している。

1-2脳の機能と神経の発達

脳は複雑な臓器で、コンピュータの機能に例えられる。それだけに脳を損傷から守るために頭蓋骨というヘルメットに守られている。脳は大脳と小脳に分かれ、大脳は大脳半球(大脳新皮質)と大脳辺縁系や大脳基底核、脳幹から成りたっている。図1のように頭蓋骨の中に入っているのは大脳(大脳半球)で、高次の精神活動を行い豆腐のように柔らかく重さは約800グラムである。その下部にあるのが、運動を支配している小脳である。小脳は約130グラムで、その横に柱のようになっているのが脳幹である。間脳は大脳と脳幹の間にあり、自律神経中枢の役割を果たし、感覚の中継機能を持つ視床と視床の下にある視床下部と下垂体で構成されている。身体のホメオスタシスをコントロールしている部分から構成され、重量は約220グラムである。脳幹は中脳、橋、延髄の3つからなり、間脳と橋との中に中脳がある。中脳は目の運動の反射の調整や姿勢のコントロールをしている。橋は延髄と他の脳との連絡の役割をしている。延髄は生命に欠かすことのできない呼吸、循環、唾液等の自律反射の中枢の役割をし、生命の脳と呼ばれている。そして脊髄に続いている。この脳重量は、生まれた時は370gから400gであり6ヶ月で2倍に成長し、78歳では大人と同じくらいになり、成人男性は約1400グラム、女性で約1300グラムとなる。神経系は中枢神経系と末梢神経とからなり、中枢神経(脳、脊髄の総称)は下界からの刺激を受け取り、それを吟味し、適切な判断や反応を返すための情報処理機能をしている。末梢神経系は中枢神経系と身体各部の情報をやりとりしコントロールし、その機能から体性神経(脳神経、脊髄神経)と自律神経系がある。

1-3中枢神経系

中枢神経(脳神経)は脳と脊髄から構成される。体も脳も細胞から構成される。脳の細胞にはニューロン(神経細胞)とグリア細胞がある。この 神経系は、受精卵細胞の外胚葉から発し、神経板、神経隆起、神経溝、神経管の管状構造が脳や脊髄になる。脳の各部の

機能は図2のように大脳はシワシワの大脳皮質に覆われ、このシワのことを脳溝という。このシワを伸ばした表面積は新聞紙大に相当する。大脳皮質は話す言葉や物を覚える記憶や思考や感情、認識、理性、愛情、やる気などの人間の高次な精神活動の中枢機能と関係している領域である。さらに大脳は右脳、左脳にわかれ神経繊維の脳梁(のうりょう)によって結ばれ、てんかんで脳梁を切断された人が、左右の脳の役割が違い、しかも脳と身体は右と左が逆転(交叉支配の原則)していることがわかった。大脳半球は4つの領域あり中心溝と外側溝の前方の(1)前頭葉、(2)後方の頭頂葉、(3)後頭葉、(4)側頭葉の4脳葉からなり、随意運動、視覚、聴覚、言語等々の中枢が局在しているのが特徴である。灰白質(かいはくしつ)である大脳皮質と、白質である大脳白質からなり、白質には大脳基底核がある。前頭葉は思考や理性的判断、物事を研究することや計画的に進めることあるいは「やる気、新しいアイデア」を考える等の創造的機能や愛情や物事の推理をする等の生きる価値のような心理的機能等の高次の精神活動の役割をする。人間がうまく適応していくために欠かすことのできない機能を果たしている。なお前頭葉下部の運動言語性中枢(ブローカの中枢)が脳梗塞などの障害を受けると、相手の話は理解できが、喉や口に障害がないのにそれに言葉で答えられない運動性失語症(ブローカー失語=フランスの医師ブローカーが1861年に発見)を呈する。また前頭葉症候群は、意欲が減退することから、自発性欠如、反社会性、無関心等が表れる。頭頂葉は感覚情報、空間や身体の認知を行っており、ここになんらかの問題が発生すれば運動障害はないが、行うべき動作や行為がわかっているのにその行動ができない。例えば、服を着なければならないのに、それらの動作、つまり服を着ることができない等の失行が生じることになる。後頭葉部は、おもに視覚の中枢であり、側頭葉部は判断と統合に関する役割が行われる。この側頭葉部の上部の感覚性言語表出の中枢(ウェルニッケの中枢)が障害されると話をすることは可能なのに相手の話している言葉が理解できないという感覚性言語障害(ウィルニッケ失語=ドイツの医師ウェルニッケが発見)が発生する。この大脳の内側に位置し、人間にとって欠かすことのできない生命活動を調整、制御しているのが大脳辺縁系である。文字通り脳幹の周りを囲むようになっているので大脳辺縁系といわれている。大脳辺縁系は我々の心の怒りや恐れ、喜び、悲しみ、快不快等のいわゆる情動活動との強い関係があるものと考えられている。大脳辺縁系は扁桃核、脳梁、脳弓、海馬、島、帯状回、視床下部などで構成され、これらの脳の部分は、発生上、大脳皮質より古い脳と考えられている。大脳皮質を持たないワニ等の爬虫類にもあることからワニの脳と呼ばれている。この部分は人間が生きていくうえで欠かすことのできない食欲、性欲、情動、記憶などの働きを行う。特に最新の研究では喜び悲しみ、怒り、快不快などの情動、快不快の心の動きはこの辺縁系が大きくかかわっていることがわかってきた。また大脳辺縁のひとつに海馬がある。海馬はタツノオトシゴと似ているのでこの名前出呼ばれている。この海馬は記憶と強い関係あり、加齢とともに海馬の機能が低下することもわかってきている。大脳基底核は、大脳の奥に存在する。尾状核、淡蒼球、被殻、視床下部、黒質などである。その働きはまだ不明である。間脳は大脳半球が 脳幹と最初に接する部分で視床、視床下部、下垂体からなり、脳幹の上端部が視床である。この視床の働きはさまざまな方向から多数の航空機が次々と飛来する空港で、パオロットと連絡し、空港の状況の情報を照らし合わせ双方向に連絡をとり指示し安全に飛行機をコントロールしている管制塔の役割と似ている。つまり視床は大脳皮質から情報や感覚情報を処理し、大脳皮質へ双方向に中継している脳の管制塔であり、自律神経系の最高中枢である。自律神経の統合機能で、我々が寝ている間も、内臓は問題なく働いている、寝たら心臓や腸が停止することのないようにコントロールしているのである。つまりホメオスタシスの維持として体温、心拍、呼吸、血圧、内蔵、摂食、飲水、情動行動、性欲、下垂体機能を調整、制御している。その中の視床下部は文字通り視床の下に位置し、大脳辺縁系とともに情動行動や生体内を調整する内分泌系の中枢機能を持つ。視床下部は特に、食欲と性欲という生命活動に不可欠な欲望をコントロールしている。例えばサルの性欲中枢を刺激すると、同性のサルに対しても性行動に向かうのが見られる。この動物の実験が直ちに人間に当てはまるかというとそうではない。人間の場合大脳皮質の影響力は大きく性行動は理性のコントロールにおかれることになる。大脳皮質の前頭野の視覚、聴覚、理性、あるいは情報や社会的影響も加わり、結果的な総合的判断となる。サルのような短絡的反応には直ちに繋がらない。この点下等なネズミなどの動物の短絡的な反射的性行動とは異なる。また視床下部は欲望や恒常性を保ち、生命を維持する機能であり生命中枢とも呼ばれている。視床下部はお腹が空いたら食事をし、満腹になったらやめるという摂食行動のコントロールを、血中ブドウ糖を感知する神経細胞でブドウ糖の量に反応することにより行っている。従って、ネズミの摂食中枢を刺激し反応させると、どんな満腹になってもコントロール機能が働かず、ドンドンとり続ける。また摂食中枢を壊してしまうと食欲がわかない現象が見られる。満腹中枢は、視床下部の内側にあり、摂食中枢と反対の働きをしている。動物実験でこの部分に電気刺激を与えると、空腹であっても食べない。電気刺激をなくすと食べるようになる。過食症や拒食症も、視床下部の影響が関わっていると考えられる。つまり我々の脳は電気信号による神経伝達のみではなく、ホルモンによる化学信号による情報伝達という複雑なシステムを使用しコントロール活動をしていることになる。「○○せよ」と命令を出す脳の部分があり、これが相互に働き合って、人間は接触したりしなかったりしているのである。小脳は橋と延髄の背側部にあり、運動調整機能の中枢である。我々が歩いたり運動できるのは、この小脳の平衡感覚機能による、従って、ここに障害が発生すると運動障害となりバランスに必要な運動や歩行ができなくなる。中脳は背側部あり、下部面は大脳脚になっている。ここは錐体路の通路でもある。橋は延髄の上部にあり、その両側は中小脳脚となって小脳に続く。ストレスとの関連が注目されている「青斑核」はこの橋上部に位置している。延髄は橋と脊髄の間にある。この小脳、中脳、延髄からなる脳幹には嗅覚を除く感覚繊維はここで中継され大脳皮質につながり生命活動である呼吸、心臓、血液循環、発汗な体温調整、唾液分泌、咀嚼などの反射中枢などの重要な中枢がしめている。脊髄は熱い物に触れる手を引っ込める反射などの反射機構のほかに、脳からの情報を抹消に伝える働きをしている。頭蓋(とうがい)から外部にあり、脳ではない。31対の脊髄神経は全身にあり感覚刺激を受け、逆に運動神経を通して筋肉に伝わる。自律神経のうち、交感神経系は脊髄神経と関係が深い。脊髄を横断的に切断すると、中心部にH型の灰白質、周囲に神神経路(神経線維の束)がある白質がある。

1-4末梢神経系

なお末梢神経の機能は、自律神経系(植物性機能・消化器、呼吸、循環)と体性神経系(動物性機能・運動、感覚)とがある。(1)自律神経系は呼吸、循環、消化、排泄等の生命維持活動を調節している神経系である。意識や意志の影響はあまり受けず、自律的に動いていることから「自律神経系」といわれている。興奮を中枢から末梢に伝える遠心神経で交感神経と副交感神経が有る。この2つの神経繊維をブレーキとアクセルのように拮抗的に使用し内臓器官をコントロールするつまり内臓の機能をコントロールする神経系をいう。興奮運動時には交感神経、休息時には副交感神経が亢進する。この2つの神経の上位中枢は視床下部である。(2)体性神経系は運動神経、受容体の興奮を中枢に伝える求心性神経で脳神経は、頭側から左右1対で、第1対から第12対まである。嗅覚、視神経、動眼、滑車、三叉、外転、顔面、内耳、舌咽、迷走、副神経、舌下の神経で、脊髄神経は 頸髄から出る、頸神経8対、胸髄からは胸神経12対、腰髄は腰神経5対、仙髄からは仙神経5対、尾髄から尾骨神経1対の合計31対である。

 1-5ニューロンの働き

我々のニューロン(神経細胞)の数は大脳皮質で140億、小脳では約1000億個といわれ大脳よりも小脳が多く、脳全体で1000数百億個といわれて成人後は1日につき10万個位減少していくといわれている。チンパンジーは約80億個、ウサギは約13億個で、我々の大脳皮質のニューロンは比較して多い。そしてこの神経細胞が脳の情報処理をしている。例えば、お腹が空くと食事をする、ガスの匂に危険を感じる、おしっこがでたいのでトイレに行く、ジョークに笑う等の情動行動も脳の神経細胞により情報処理されている。

この情報処理の仕組みは以下のとおりである。

ニューロンは直径5100ミクロンで情報は電気信号インパルスになり時速約400キロメートルで神経を伝わる。細胞は傷ついても修復のため分裂し増加するが、ニューロンは減少し使用されない死滅する。また「プログラム死」といって細胞同士が使用されても受け手になる神経細胞が生み出す神経栄養因子が無ければシナプスは形成されない。細胞は加齢とともに低下し、大事な役割をする記憶の海馬は40歳を過ぎると10年間に5%づつ減少するといわれている。例えば、お寿司を食べたいという情報は電気信号イオンとなってい伝わる。イオンとはプラスやマイナスの電気をおびた原子のことで、細胞の外にはプラスのナトリウムイオンが多く、内側にはマイナスのカリウムイオンが少ない。この状態で電気信号が流れると、ナトリウムイオンを通す穴が開いて、プラスのナトリウムイオンは細胞内に入り込む。カリウムイオンの穴は常時開いているのでイオンは濃度の少ない方に流れるので、内側がプラスになるとカリウムイオンは外側に出る。ニューロンの構造は、樹状突起と軸策から構成される。樹状突起は自己も含めて他の細胞からの情報を受ける。軸索は他の細胞に情報を伝達する役割をしている。軸策の端は、別のニューロンと結合する。つまりニューロンとニューロンの結合部分をシナプスという。軸策は鞘のようなもので囲まれていてこれを髄鞘(ずいしょう=ミリエン鞘)と呼ばれる細胞で囲まれ、数ミリごとにくびれている。このくびれを絞輪(こうりん)という。人間の情報伝達は有線の電話線のように1本の線では結ばれていない。具体的には樹状突起の先端はシナプス間隙で切れている。例えば情報は電気信号(インパルス)は樹状突起あるいは細胞体をとおり、軸策突起からシナプスを通じてさらに別の神経細胞にインパルスを伝達する。しかし前述したように神経は1本の線で結ばれてはおらず、シナプス間隙で切断されている。情報はシナプスの中のシナプス小胞(しょうほう)という神経伝達物質の入った袋があり、シナプス間隙(かんげき)に神経伝達物質を放出して情報を伝えていくことになる。この間隙は2030ナノメートル(1ナノは100億分の1メートルでナノとは小人の意味)である。このシナプスは生まれたばかりでは1つの神経細胞に2つくらい、数ヶ月で50から60くらい、成人では100個から10万個で平均では1万個位といわれている。この神経を情報は電気信号となって軸索を伝わり、末端では、その情報個々に対応する神経伝達物質が放出され、次の細胞に伝達されていく。この伝達の反復作用が精神活動となる。接続部神経細胞の樹状突起先端の細胞体には、受容体(レセプター)があり、シナプス間隙に放出された神経伝達物質を、レセプターを通じて細胞に伝達していく。

つまりシナプス前繊維に刺激が伝わると、シナプス小胞の神経伝達物質という鍵にたとえるとわかりやすい。ある神経伝達物質という鍵がシナプス間隙に放出され、シナプス後膜の受容体である鍵穴に結合する。例えば、これを脳の味覚の情報の伝達ということから考えると甘味のショ糖、すっぱい味の酢酸、辛味のe塩化ナトリウム、苦味のキニーネ、うまみの塩化ナトリウムグルタミン酸イノシン酸を鍵(味神経プラス味細胞)とすると、この鍵が神経を伝わりシナプス後膜、それぞれの神経伝達物質(鍵)にあった受容体に合致した時に伝達されていく。そして大脳皮質の味覚野から知覚性連合野に伝わり感覚性言語中枢で「甘い」という認知がされることになる。神経伝達物質には脳を興奮させる興奮性物質であるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン等と脳の興奮を抑制するように働く物質であるGABA(ギヤバ)等その数は50種類以上といわれている。

最新研究により、今までは、脳の機能で神経による情報伝達が重要な役割りとされてきたが、最近では脳神経伝達の化学物質が注目されてきた。特にシナプスに関連する前述の神経伝達物質が重要である。脳の構造は、変わらないが、神経伝達物質は置かれている環境の変化や、その個々人のストレス状態や心の持ち方や、あるいは栄養状態によって異なる。特にその中でも怒り悲しみ等の情動の変化は神経伝達物質に影響を与える。例えば不安が強い時はノルアドレナリンが放出され、心が幸福感に満たされている時はドーパミンやセロトニンの放出と無関係ではない。

その他には脳内麻薬といわれるエンケファリンやエンドルフィンがある。これらは神経伝達物質の受容体の研究から発見された。神経伝達物質の特徴は1つの神経細胞は1種類の神経伝達物質しか作らないことである。 例えば、学習、記憶、睡眠とアセチルコリンが関係していることが知られている。アルツハイマー病では、アセチルコリンが減少している。アセチルコリンの減少と記憶に関するネズミの実験がある。アセチルコリンが正常なネズミは課題を与えても解決し 記憶量が増加し海馬も活発である。このネズミにアセチルコリン阻害薬のスコポラミンを与えると スコポラミン投与後30分アセチルコリンが減少し大脳皮質が不活発になり記憶量が低下する海馬が不活発になる。海馬はアセチルコリン神経が減少すると短期記憶と関係しているという。アセチルコリンが過剰な場合はパーキンソンのような症状がでる。パーキンソン病はドーパミンが少ない時に関係していると考えられている。精神障害の医学的研究によれば、疾患の多くはこの脳内伝達物質に異常があると考えられている。精神疾患の治療薬の抗精神薬はこのような神経伝達物質をコントロールすることにより精神症状を改善しようと考えているのである。例えば、エンドルフィンは脳内麻薬物質といわれ精神的苦痛緩和作用が見られる。ドーパミンは運動機能に関係し、好きな勉強や特異なスポーツや、大きな喜びを感じた時などに分泌されるらしい。この神経伝達物質は、分泌され続けることなく、ある量に達すると今度は抑制的に働くといわれている。しかしドーパミンは「脱感作」となり、それ以上の適量レベルのドーパミンが必要になると考えられている。減少すると筋肉が固くなり運動機能が低下する。ドーパミンは分裂病でその量が多すぎると幻覚・妄想等の陽性症状が出るので、抗精神病薬はドーパミン受容体結合阻害作用をする。パーキンソン病等との関連が注目され、これらは薬理作用として向精神薬(治療に効果のある薬の総称で麻酔薬やアルコールなども含まれる)にされている。1952年にフランスのJ.ドレイとP.デニカーにより、クロルプロマジンが精神分裂病にまた、1954年にデンマークのM.スコーにより炭酸リチウムの抗操作用が、1957年にスイスのR.クーンによりイミプラミンの抗うつに1958年にはベルギーのP.A.ヤンセンにより抗分裂病作用をもつハロペリドールが効果を持つことが見いだされた。抗精神病薬とは意識の低下をきたさずに、とくに幻覚妄想や精神運動興奮などの精神病的状態に効果を発揮する薬を抗精神病薬と呼ぶ。抗精神病薬に共通する薬理作用にはドーパミンD2受容体遮断作用があり、これが強いほど臨床用量も少なくてすむことから、この作用が抗精神病効果に関連すると考えられている(→抗精神病薬の副作用)。ノルアドレナリンは怒りや恐怖の伝達物質で、自律神経発作と関係している青斑核から分泌されその量が多いとパニック状態をもたらす、故にノルアドレナリンは「怒りホルモン」といわれ、ノルアドレナリンと類似物質のアドレナリンは「恐怖のホルモン」と名づけられている。エンドルフィンは脳内麻薬物質(ストレスと関係)。セロトニン(Serotonin)は、脳が人との真摯な人間関係やスキンシップ等を通して幸福感を感じた時や明るい積極的な活動の時等に分泌されると思われている。このセロトニンの不足は抑うつ状態と関係している。最近のうつ病治療薬のSSRIserotonin selective reaction l=セロトニン再取り込み阻害剤)はシナプス間隙のセロトニンの量をコントロールすることによりうつ状態を改善しようとする抗うつ薬である。特にセロトニン系神経は、情動とか関係が深い青斑核と結びついていてノルアドレナリンの活性化作用を抑制するといわれている。 うつ症状に効果ある抗うつ薬は炭酸リチウムで抗操作用だけでなく、双極性気分障害への効果もある。気分安定薬(抗精神病薬的鎮静作用によらず気分を安定させる薬物)としてクロミプラミン、アミトリプチリン、炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパムなどがある。抗不安薬(神経症圏障害や心身症の不安、緊張、抑うつ)としてはジアゼパム、クロキサゾラム、アルプラゾラム、睡眠薬(正常の睡眠に似た中枢神経抑制状態を起こす薬)にはベンゾジアゼピン系睡眠薬である。脳の中にはニューロンの活動をサポートするためのグリア細胞がある。このような神経伝達物質は細胞体の核の遺伝子により生産されるだけではなく、食生活や精神的環境によっても異なる。だからこそ適切な生還習慣やメンタルのストレスマネジメントが必要になってくる。脳はこれまで述べてきたような活動が個々の独自の機能をしているのではなく、それぞれの大脳皮質の随意運動、体性感覚、視覚、聴覚、言語の中枢などが間接、直接にネットワーク化されて総合的に働くという高次の活動を行っているわけである。これらのコントローラーが前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野等である。うまく適応し生きていくために様々な情報を処理しながら、それらに適切に反応を出している。我々の脳は「生きる」、ワニの脳(脳幹・脊髄系=生命の維持)、「たくましく生きていく」、馬の脳(大脳辺縁系=本能行動)、「うまく生きていく」人の脳(新皮質系創造行動)の3つの脳からなっているといわれる。不安や心配といったストレスは新皮質系から大脳辺縁系へ、そして  脳幹・脊髄系に伝わり身体的ストレスとなる。逆もまたしかりで身体的ストレスは心に影響を与える。我々はこの3つの脳の機能をうまく扱っていかなければならない。我々の生活のすべてが脳の解剖学的生理学的研究により解明されているわけではない。なぜ、恐れるのか、どうしてうれしいのか、等は心理学的なテーマとなる。そしてそのような情動は生理的変化となる。このような変化を応用したのが「うそ発見器」である。人間の心の変化は理性や合理的な生理学のみでは説明つかないのである。

 3節 診断基準としてのDSMICD-10

3-1医学診断としてのDSMICD

精神医学的診断にはDSMDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)とICD-10 International Classification of Diseases)2つがあり、DSMとは、アメリカ精神医学会(APA AMERICAN  PSYCHIATRIC ASSOCIATION)では、1980年に開発された操作的診断マニュアルで「精神障害の診断と統計のためのマニュアル」のことである。精神科診断は、血液検査のような客観的データはなく、主訴を素材とするためバラツキが生じるため操作的診断基準を示し客観的操作的診断をしようとするものである。特徴は「多軸診断」である「AXIS  臨床疾患」、「AXISⅡ人格障害  精神遅滞」、「AXISⅢ一般身体疾患」、「AXIS 心理社会的および環境問題」「AXIS 機能」の全体的評定という5軸の観点から総合的に判断され、診断がなされる点である。1994年には第4版が発行され(DSM-Ⅳ)、世界の専門家に使用されている。もうひとつはICD-10である。これは世界保健機構(WHO)による国際的にすべての疾患分類を統一にするための「国際疾病分類」であり、1992年のICD-10ではDSM-Ⅳに対応した分類や診断ガイドラインが作成されている。この中で特徴的なのは、例えば神経症概念では、その原因は心因と考えられてきたが、近年では神経症にも「中枢神経系の障害が、つまり器質的要因も疑われるものがあることがわかってきた。従って、成因ではなく、症状からの診断が行われるようになってきたのである。例えば、神経症はDSMでは、不安神経症等の「不安障害、身体性障害、解離性障害等に分類されている。中枢神経系への異常が見られないという従来の概念から離れ、身体的表現性のものまで含むようになってきている。いわゆる神経症は削除されている。本稿では原因別の疾病類型基本にして、わかりやすい利点があるので、多面的な観点から論を展開した。

 

 

 

 

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